「自転車泥棒」を鑑賞!おすすめの名作映画です!

映画 名作映画レビュー(1940年代)

1948年のイタリア映画
「自転車泥棒(The Bicycle Thief)」
についてです。

ネタバレもありますので、ご注意を!

自転車泥棒とは

「自転車泥棒」は、
イタリアの「ネオレアリズモ」の
代表作として有名な作品。

「ネオレアリズモ」とは、
現実の社会を脚色せずに描いていく
っていう意味になると思います。

今作もドキュメンタリー的な感じで、
当時の人々の苦しい生活や社会状況を、
ありのままに描いた作品になっています。

海外でたくさんの映画賞を受賞していて、
第22回アカデミー賞では
現在の外国語映画賞にあたる特別賞を受賞。

脚本賞にもノミネートされています。

外国語映画賞は、
黒澤明監督の「羅生門」や
滝田洋二郎監督の「おくりびと」が
受賞した賞ですね。

その他にも、イギリスの第3回英国アカデミー賞
(British Academy Film Awards)の
総合作品賞(Best Film from any Source)、
アメリカの第15回ニューヨーク映画批評家協会賞
(New York Film Critics Circle Awards)の
外国語映画賞(Best Foreign Language Film)、
日本の第24回キネマ旬報ベスト・テンの
外国映画ベスト・テン第1位などを
獲得しています。

イタリア国外での評価も高い作品ですね。

あらすじ

第二次大戦後のイタリア。

街は失業者であふれかえり、
主人公のアントニオも
妻と二人の幼い子供がいましたが、
2年間失業中でした。

役所ではいつものように
大勢の失業者が仕事を求めていて、
幸運なことにアントニオへ
2年ぶりとなる仕事が斡旋されます。

仕事内容は街でのポスター貼りで、
その条件は、自転車を持っていること。

自転車に乗って色々な場所へ
ポスターを貼りにいく仕事です。

しかしその時のアントニオは
自転車を持っていませんでした。

生活費をねん出するために、
自転車を質に入れていたのです。

途方に暮れるアントニオでしたが、
妻のマリアが自宅にあった
全てのシーツを洗濯して質に入れ、
そのお金でようやく自転車を買います。

2年ぶりとなる仕事の初日。

アントニオは身なりを整え、
妻や子供に見送られ意気軒高と出勤。

自転車に乗り移動しながら
ポスターを貼っていきますが、
少し目を離したすきに、
止めてあった自転車を
3人組の窃盗犯に盗まれてしまいます。

ドロボー!と言って追いかけますが、
窃盗犯の連係プレーもあり逃げられて
途方に暮れるアントニオ。

警察に被害届を出しますが、
積極的に動いてくれる気配はありません。

自力で探す決意をし、
友人や息子のブルーノにも
手伝ってもらいますが、
なかなか見つかりません。

そうして、あちこち探し回ったのち、
ようやく窃盗犯を見つけます。

しかし、相手は知らぬ存ぜぬの一点張り。

もう売り払ってしまったのか、
盗まれた自転車もありません。

警官が駆け付けますが、
証拠もなく証人もいないのでは
どうしようもないと言われます。

目の前に犯人がいるのに
できることは何もなく、
アントニオはその場を立ち去ります。

途方に暮れながら街でたたずんでいると、
ポツンと置かれている
一台の自転車が目に留まります。

自転車がないとまた失業する。

そうなると家族は生きていけない。

思い悩んだ末に、
とうとうアントニオは自転車を盗みます。

しかし、持ち主にドロボー!と言われ、
周りにいた人々に取り押さえられます。

警察に連れていかれそうになりますが、
息子のブルーノがそばに駆け寄り
涙ぐんだ目で父親を見つめていると、
自転車の持ち主が
今回は見逃すと言ってくれます。

呆然と涙ぐむアントニオ・ブルーノ父子。

二人は手を握り合いながら、
街を歩いていくのでした。

感想

とにかく暗い映画です。

今まで見てきた映画の中で一番暗いかも。

まるで救いようがありません・・・。

主人公の人は、役者じゃなくて
実際の失業者だっていう話もあるし。

それが本当なら、映画の観客は
失業者を演じる役者ではなく、
現実の失業者を見ていることに。

・・・どこまでリアルなんでしょう。

そんな暗い映画の見どころは、
やはり「自転車泥棒」の場面だと思います。

本当にドキドキしますよ。

前半は、主人公の自転車が盗まれ、
ラストは、主人公が自転車を盗みます。

どちらも、そうなることは分かるわけですよ。

タイトルが「自転車泥棒」ですしね。

前半は、主人公が自分の自転車から離れるたびに、
ラストは、主人公が他人の自転車を凝視する時に、
ああ、盗まれる/盗むんだなって。。

・・・何とも言いようがないですね。

さて、イタリアが舞台の映画といえば、
1953年の「ローマの休日」が有名ですよね。

自転車泥棒も同じローマが舞台で1948年公開。

たった5年しか違わないのに、
あちらはとても華やかで、
こちらは救いようのない暗さ。

この違いは何なんでしょうね。

5年の間に急速に発展したのか、
それとも、その両方が存在したのか。。

とにかく、今では作ることができない
映画だと思います。

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