夏目漱石の小説
「坊っちゃん」についてです。
ネタバレもありますので、ご注意を!
坊っちゃんとは
「坊っちゃん」は、
1906年に発表された小説です。
夏目漱石の中・長編小説では、
デビュー作「吾輩は猫である」に次ぐ
2作目の作品になります。
何度も映像化されており、
2016年にも、漱石の没後100年を記念して
嵐の二宮くん主演でドラマ化(^^)
私の中の坊っちゃんのイメージは
五分刈り頭のやんちゃ坊主なので、
イケメンの二宮くんは
ちょっと違和感がありましたけど(^^;
ともかく、100年以上昔の小説が
ドラマ化されるということは、
現代でも受け入れられる内容なんでしょうね。
簡単なあらすじ
冒頭の一文にあるように、
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして」
きた主人公の坊っちゃん。
その性格のためか、小さい頃から
両親や兄との関係もギクシャク。
やがて両親と死別し、兄とも別れ、
物理学校に3年間通い卒業。
そして東京から遠く離れた四国で、
中学校の教師をすることになります。
しかしここでも、同僚の先生や生徒との
人間関係が上手くいかず、
衝突することもしばしば。
とうとう教師を辞める決心をした
坊っちゃんの運命やいかに・・・。
主な登場人物
坊っちゃん、清、マドンナ以外は、
坊っちゃんがつけたあだ名です(^^)
坊っちゃん
数学教師。本名は不明。
親譲りの無鉄砲な主人公です(^^)
ただ、親が無鉄砲だという描写は、
物語中には出てきません。
坊っちゃんは全編にわたり
無鉄砲ですけどね(^^)
物語は彼の回想という形で進みます。
清
坊っちゃんの生家の奉公人。
家族からも愛されない坊っちゃんにとって、
東京での唯一の理解者で、
四国に行ってからも心の支えになる存在。
ちなみに「坊っちゃん」とは、
この清からの呼ばれ方です。
狸
坊っちゃんが赴任する四国の中学校の校長。
本名は不明。
あだなの由来は、
見た目がタヌキみたいだったから。
(坊っちゃん目線です(^^;)
ことなかれ主義で
トラブルは避けるタイプの上司。
赤シャツ
教頭。本名は不明。
あだなの由来は、
いつも赤いシャツを着ているから。
大学卒業の文学士で、
女性のような優しい声で
「ホホホ」としゃべります(^^)
一見優男ですが、その実は
策略を張り巡らせるタイプで、
竹を割ったような性格の坊っちゃんとは
全てが正反対。
物語が進むにつれて、
坊っちゃんと敵対することになります。
現代のRPGゲーム風に言うと
「ラスボス」(^^)
野だいこ
画学教師。本名は吉川。
坊っちゃんとおなじ江戸っ子ですが、
教頭の赤シャツに付き従う腰巾着。
赤シャツと共に、坊っちゃんと
敵対していくことになります。
あだ名の由来は、
小説の中での説明はありません。
「芸人風」という描写があるので、
太鼓を持っていそうだからか
それとも太鼓持ちの達人だからか(^^)
ちなみに、坊っちゃんは彼のことを
「野だいこ」ではなく
「野だ」と略して呼びます。
山嵐
数学の主任教師で、本名は堀田。
あだなの由来は、
悪僧のような面構えの坊主頭で
態度も大きかったから(^^)
坊っちゃんと同じ数学教師で、
直属の先輩教師にあたります。
当初は事あるごとに対立していましたが、
ある出来事をきっかけに意気投合。
坊っちゃんにとって、四国での
唯一の理解者と言っていいでしょう。
ラストでは、坊っちゃんと一緒に
赤シャツ&野だいこと
対決することになります。
うらなり
英語教師で、本名は古賀。
物語のキーパーソン。
彼を巡って、
坊っちゃんと赤シャツの対立が
決定的になります。
うらなり自身はいい人ですよ(^^)
あだなの由来は、
顔色が悪くて太っている様子が
「うらなりの唐茄子」のようだから。
「うらなりの唐茄子」の意味は、
「うらなり=末生り=育つのが遅い」
「唐茄子=かぼちゃ」なので、
育つのが遅くて色の悪いかぼちゃ
・・・になるかな?
まぁ悪口ですよね(^^;
ちなみに作中の坊っちゃんは、
「うらなり」の意味を分からずに
使っています(^^)
元々、清が使っていた言葉で、
その清が「うらなり」の意味を
教えてくれませんでしたから(^^;
坊っちゃんに言葉の教養は
ありませんし(^^;
ちなみに、坊っちゃんは基本的に
他人のことは呼び捨てですが、
彼のことだけは「うらなり君」と
君づけで呼びます(^^)
マドンナ
うらなりの元婚約者で、本名は遠山。
「マドンナ」は赤シャツと野だいこが
会話している時に出てきた言葉。
物語のヒロイン・・・
と言いたいところですが、
出番はすごく少ないです。
しかも、うらなりから赤シャツへ
あっさりと乗り換える悪い女(^^;
さらにその理由が、
うらなりが人に騙されて
金持ちから貧乏になったから。
・・・ヒロイン失格でしょ(^^;
ヒロインなら
「それでも一緒に頑張りましょう」
みたいなことを言って下さいよ。
ドラマとか映画の
「坊っちゃん」映像化作品では、
出番も多くていい人なんですけどね~。
ちなみに、坊っちゃんとは
まともな面識すらありません(^^;
感想
「吾輩は猫である」を読んだ後に、
この「坊っちゃん」を読んだんですが、
とにかく読みやすかったです(^^)
小説の長さが半分ほどって
いうのもありますけど、
読む時間は10分の1以下でした(^^)
坊っちゃんが登場人物に
分かりやすいあだ名をつけてくれて、
さらに、今起こっている出来事や
心情描写の説明を、
一から十までしてくれますからね。
無鉄砲なくせに、豆な坊っちゃん(^^)
「吾輩」の猫はそうじゃなかった。
基本、人の会話を聞き流して
文句をブツブツ言ってるだけですからね、
あの猫は(^^;
物語の内容も、
坊っちゃんの教師生活がメインなので、
親しみやすくて、入り込みやすいです。
印象に残っている場面は、
前半のハイライト「イナゴ事件」もですが、
一番はやっぱりラストの
「赤シャツ&野だいこ襲撃事件」です。
手に汗握る展開でした!
マドンナが全然ヒロインじゃないところも
印象に残ったかな(^^;
最後の突然&あっさりとした終わり方は、
「吾輩は猫である」と似ています(^^;
結局、その無鉄砲さゆえに
教師を辞めた坊っちゃんですが、
東京には清、四国には山嵐と、
自分の理解者がいたんですよね。
なので、幸せな人物だと思います。
自分のことを分かってくれる人が
ちゃんといたんだから(^^)