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夏目漱石の「明暗」を読了!あらすじや感想です!

夏目漱石の小説「明暗」についてです。

ネタバレもありますので、ご注意を!

明暗とは

明暗は、1915年に発表された
夏目漱石の長編小説です。
連載中に作者が亡くなったため、
未完の絶筆となってしまいました。

メインテーマは三角関係なんですが、
本筋以外にも細かい描写が
たくさん描かれていて、
全188章という大長編作品になっています。

主な登場人物

・津田 由雄(つだ よしお)
主人公。30才。妻・お延(のぶ・23才)と
結婚してまだ半年と少しで、東京で2人暮らし。
近郊に住む妹のお秀(ひで)はお延の1つ年上で、
子がすでに2人いる。両親は京都在住。

・岡本家
お延の叔母夫婦。裕福。子(お延の従妹)は
上から順に、継子(つぎこ)21才・
百合子(ゆりこ)14才・一(はじめ)小学生。
津田家の奉公人・お時(とき)も
昔は岡本家にいた。

・藤井家
津田の叔父夫婦。夫が津田の父の弟で、
兄から幼い津田を預かり育て上げる。
長女と次女は既に嫁いでいて、
長男の真事(まこと)は岡本一と同級生。

・吉川(よしかわ)家
夫は津田の上司で、津田の父と旧知の仲。
妻は津田とお延を引き合わせた世話好きの人物。
夫婦で津田とお延の結婚式の媒酌人を務めた。

・小林
津田の友人。仕事は出版関係で海外へ赴任予定。
妹のお金(きん)は藤井家で世話になっていて、
近々結婚予定。

・清子(きよこ)
津田の元恋人。津田の前から突然姿を消し、
関(せき)という男性と結婚した。

要約

新婚の津田は、
周囲からは幸せな結婚生活を送っていると
思われているが、妻のお延のことを
心の中では大切に思っていなかった。
それは、かつて突然姿を消した恋人、
清子のことが忘れられないからであった。
津田は自分の気持ちに決着をつけるため、
清子に直接会いに行き、話をする。

あらすじ

・1~8章<津田とお延>
津田は痔の手術のため入院することになる。
妻のお延にその話をして、
親戚の岡本との芝居見物の予定を断ることに。
父から毎月の送金を止めるという手紙が来る。
困った津田は入院費用の相談をお延とする。
親戚の藤井や岡本に借りたり、
お延の着物を質に入れたりする案が出るが、
結論は出ない。

・9~18章<津田と吉川家>
津田は上司の吉川夫妻に入院のことを話す。
吉川夫人は津田に、話を研究する癖を止めれば
もっといい男になれる、同じ意見の人物がお延と
そしてもう一人いると言う。
津田は父に金を無心する手紙を再び出す。
吉川は津田に、父に心配をかけてはいけない、
もし悪いことがあれば父に知らせると告げる。
手術の日程が決まる。

・19~32章<津田と藤井家>
手術前日、津田は病気の報告も兼ねて
ご無沙汰していた叔父・藤井の家を
訪れることに。
藤井は全国転勤を繰り返していた役人の兄から
幼い津田を預けられ、育て上げた人物だ。
津田は道中、甥の真事に会い、
おもちゃを買ってあげて、一緒に家に行く。
藤井家では、出入りしている女性・お金の
縁談が進んでおり、その件で
お金の兄で津田の友人・小林も来ていた。
皆で食卓を囲むが津田と津田以外で
結婚観が合わず、話は弾まない。
津田が父から送金を止められた話になり、
藤井が兄は怒っているだろうと言う。
津田は妹のお秀が父に余計なことを言うからと
主張するが、叔母の藤井夫人からは
津田が悪いに決まっていると言われる。
津田は小林を連れ立って、
逃げるように藤井家を後にする。

・33~37章<津田と小林>
津田は書生時代に着ていた古い外套を、
小林が欲しいと言うのであげることにする。
そして小林に一杯やろうと誘われ、
乗り気はしないが店に入る。
津田と小林は次第に口論になるが、
小林は近々半島へ赴任することを打ち明ける。
津田は小林の送別会を開く約束をする。

・38~44章<津田の入院>
入院の日の朝、
津田はお延が着飾っていたので驚く。
病院へ着くとお延は岡本へ電話をかける。
そして手術が終了した後、お延は津田に、
岡本と一緒に芝居を見に行っていいかと尋ねる。
お延が以前断ったにも関わらず、
岡本は是非とも来いと言うらしい。
津田は気分を害するが、結局了承する。

・45~56章<お延の芝居見物>
お延が芝居の劇場へ着くと、
岡本夫人と娘の継子、百合子が既にいる。
お延は夫の津田を褒められるが、
夫に不満を持っているので複雑な気持ちに。
劇場には吉川夫人も来ていて、
遅れて岡本と吉川も来場、百合子は先に帰る。
幕間に皆で食堂へ移動するが、
そこには三好(みよし)という青年もいた。
食事中、話題の中心は継子で、
お延は皆の注目を集める彼女に
嫉妬と憐みを感じる。食事終盤、
お延は吉川夫人に津田の入院先を聞かれる。
食事が終わり、お延は近々岡本家を
訪れることを約束して、帰宅する。

・57~76章<お延と岡本家>
翌朝、お延は津田がいないせいか寝過ごす。
お延は病院に電話をかけ、今日は岡本へ行くので
そちらには行けないと伝える。
そしてお秀に電話をして、
夫の現状を簡潔に伝える。お延は岡本家を訪れ、
昨日の食事会が継子と三好の見合いで、
三好が婿にふさわしいか
目利きのために呼ばれた、
それは継子の希望だと打ち明けられる。
継子はお延と津田の結婚に憧れており、
お延は男性を見抜く目を持っていると
信じていた。お延は皆から自分が幸せだと
思われていることを心苦しく感じ、
しまいに泣き出してしまう。
皆で食卓を囲んだ後、岡本はお延に
泣かせた賠償金だと言って小切手を渡す。
受け取るお延はまた涙ぐむ。

・77~90章<お延と小林>
帰宅したお延は、お時から小林が
津田の外套を貰いに訪ねてきたことを聞く。
夜、お延は京都の両親に手紙を書く。
翌朝、小林が訪問してくる。
小林はお延に、津田は結婚して変わった、
お延の知らない結婚前の津田を知っている、
お延が知りたい、知らなければならないことが
あるなどと話して、外套を受け取り帰る。
言われ放題だったお延は、わっと泣き出す。
その後、外套を渡していいか津田に聞くために
病院まで行って帰ってきたお時から、
津田が小林の話は信じるなと言っていたことと、
お秀が見舞いに来ていたことを聞く。

・91~102章<津田とお秀>
時は少し遡り、お秀が津田の見舞いに
病院へ来る。兄夫婦、特にお延のことを
快く思っていないお秀は、
京都の両親に兄夫婦のことを悪く報告しており、
父の怒りは津田の予想以上に激しいものだった。
父の送金が途絶える問題を兄妹が
口論していた時、お時が小林の外套の件で
病院にやって来て、帰る。
津田は小林がお延に何を話したか気になり、
お秀はそんな津田を不審がる。
お秀は津田のために自分で金を用意してきたが、
津田は受け取ろうとしない。
お秀は自分の親切を無視する津田を不快に感じ、
津田にはお延の他に大事にしている人がいる、
だからお延を怖がるのだと言って
兄妹の口論が最高潮に達したその時、
お延が病室に入って来る。

・103~113章<津田夫婦とお秀>
お延は津田に父からの手紙を渡す。
手紙の内容は予想通り送金はしないというもの。
お秀は自分の金を受け取れと重ねて言うが、
お延は岡本からもらった小切手を津田に
差し出す。お秀はとうとう怒り心頭になり、
あなた方夫婦は人の親切を受ける資格がないと
一方的に言い放ち、金を置き、病院を出る。
津田とお延は互いに微笑み合い、
久々に心が通じ合った気持ちになる。
そして父からの送金問題の善後策を相談し、
吉川夫人に相談することに決定する。

・114~122章<津田と小林>
津田はお延から、吉川夫人が
必ず見舞いに来ると聞かされていたが、
やって来たのは小林だった。津田は小林に、
この前家でお延に何を言ったのか問いただすが、
小林ははぐらかして答えない。
小林は病院に来る前、
藤井宅を訪れてお秀に会っており、
お秀はその前に吉川宅も訪れていた。
津田はお秀が彼らに自分のことを
悪く言っていただろうと想像する。小林は
吉川夫人が間もなく見舞いに来ると告げる。
津田は送別会を開く約束をして小林を帰した後、
吉川夫人とお延を合わせたくないので、
お延に今日は来るなという手紙を出すが、
家に手紙が届いた時、お延は外出中だった。
お延はその日、銭湯に行っていた時に
お秀が来たとお時に言われ、
お秀の家を訪れていた。

・123~130章<お延とお秀>
お延はお秀に津田の詳しい話を聞こうとするが、
お秀は顔を赤らめて答えない。
お延がなおも追及すると、お秀は自分はまだ
悪いことはしていないと謝罪する。
しかしお秀は、お延が今日ここに来るまでに
誰にも会っていないことを知ると、
急に強気になる。お延は夫に自分一人だけが
愛されたいと主張するが、お秀は同意しない。
結局、お延は何も聞けずに帰る。

・131~142章<津田と吉川夫人>
病院では、小林が帰ってすぐ、吉川夫人が到着。
かつて、津田はお延と出会う以前に
清子という女性を愛していて、二人の仲は
世話好きの吉川夫人が取り持っていた。
しかし、清子は津田の前から突然姿を消して、
関という男性と結婚。
その後、津田はお延と出会い、
吉川夫妻が媒酌人となり結婚したのだ。
吉川夫人は、津田がお延のことを
本当は大事にしていないのに、表面上は
大事にしているように見せていると指摘。
その原因は、
清子が姿を消した理由が分からない、
すなわち、清子に未練があるからだと言い、
そのことを津田に認めさせる。清子は今、
温泉地で流産後の静養をしているので、
津田も術後の静養を兼ねてそこへ行き、
清子に会って理由を聞いて
決着をつけてくるよう、吉川夫人は提案。
旅費も夫人が出すと言う。津田は了承する。
夫人はお延のことは任せておけ、
私がお延をもっといい妻にしてみせると言う。
お延が病院に来るという電話があり、
吉川夫人は病院を後にする。

・143~153章<津田とお延>
病室にお延が入ってくる。
お延は津田に、今日は来るなという
手紙を出した理由を問う。
津田はとっさに小林が来たからだと答えるが、
お延は吉川夫人が来たはずだと食い下がる。
津田は清子のことは隠して、
吉川夫人に術後の湯治を勧められたと話す。
自分のことを信じろと言う津田に、
お延も最終的に納得する。
温泉地に一緒に行くと言うお延に対し、
津田は費用は吉川夫人に出してもらうと言い、
自分たちが持っている金は
今月分の支払いと小林への餞別に使うと説明。
津田が一人で行くことが決定し、
お延は帰宅する。翌日、津田が退院。
一週間の入院生活が終わる。

・154~167章<津田と小林>
津田は小林との送別会にわざと遅れて行く。
小林とはいつものように口論になるが、
餞別の金(十円札三枚)を渡す。
小林の知人の貧しい芸術家・原という男性が
やって来る。小林は津田に原が書いた絵を
買うように勧めるが、津田は断る。
小林は津田に貧しい男性が書いた手紙を読ませ、
君は同情はするが金は出したくない、
そこに良心の闘いから不安が起こる、
それが手紙を読ませた目的だと語る。
小林は津田から受け取った十円札三枚を並べ、
原に受け取れと言い、津田は驚く。
原は躊躇するが、小林は一枚を手渡す。
三人は別れるが、津田は小林を見送らない。
明朝、津田はお延の見送りを断り、
駅で吉川夫人の書生から果物を受け取り、
温泉地へ出発する。

・168~188章<津田と清子>
津田は汽車や馬車に揺られ、温泉地の宿へ到着。
その晩、風呂に入るが、宿が広くて部屋に戻る
道に迷っていたその時、清子と鉢合わせになる。
清子は大変驚いた様子で、
蒼白くなり、姿を消す。
翌日、津田は親族など(小林以外)に絵葉書を
書き、その後、吉川夫人からもらった果物を
清子への見舞いということにして、
自身の名刺と共に、宿の職員を通して
清子へ贈る。そして、いよいよ清子と対面する。
清子は、指輪をしていることを除いて、
昔と変わっていなかった。清子は昨晩のことを
津田が待ち伏せしていたと思っており、
津田が理由を問いただすと、
あなたはそういうことをする方だからと答える。
清子は家から電報があれば、
すぐにでも帰らなければならないと言う。

感想

●大長編

まず、感想として思いつく言葉は、
「長い」です(^^)
188章もありますからね~。
作者の全作品中、最長だと思います。
これで未完ですよ(^^;

漫画の原作に追いつかれそうで
必死に引き延ばしているアニメみたいに、
なかなか話が進みません(^^;
主人公の入院生活の一週間だけで、
100章以上使っていますからね~。
本筋以外の細かい描写や脇役の話が
多過ぎると思います。
まぁそれが本作の特徴でもあるんですが。

メインテーマは
津田夫妻と清子の三角関係なわけで、
この三人に焦点を絞って話を進めていれば、
100章前後での完結も可能だったと思います。
でも、このペースで完結しようと思えば、
200章ではまず無理。250章はおそらく必要で
300章も夢ではないですね(^^;

●女性目線

次に、本作最大の特徴として、
女性目線での描写が数多くあることが
挙げられると思います。

これまでの作者の作品は、
そのほとんどが作者目線か主人公目線、
つまり男性目線でした。
それに対して本作は、
主人公の妻・お延の視点で
描かれている部分がたくさんあります。
主人公の妹・お秀の出番も
多過ぎるぐらいありますし(^^;

妻目線、妹目線、小姑目線など、
作者の様々な女性観を伺い知ることができる、
珍しい作品になっています。

ちなみに、これまでの作者の作品でも
三角関係はたくさんありましたが、
たいていは男性二人&女性一人。
でも今作は男性一人&女性二人です。
女性の出番が多い作品ですし、
これも本作の特徴だと思います。

●内容について

内容に関しては、正直、消化不良です。

先ほども書きましたが、本作のメインテーマは
主人公夫婦&夫の元恋人の三角関係。
そのキーパーソンとなる夫の元恋人・清子が
176章目でようやく初登場(^^;
やっと主人公との直接対面が始まり、
さあ、これからいよいよ盛り上がるぞ!
っていうところで、まさかの未完・・・。

それまでの内容も面白くないことはないですが、
最大の見どころとなるクライマックスが
描かれていないことは、
残念としか言いようがありません。
今後の展開次第で、高評価にも低評価にもなる
作品だと思いますね。

●完結予想

ということで、続きが気になる本作。
完結予想をしてみましょう(^^)

今後の展開は、大きく分けて
3パターンあると思います。

①津田とお延が引き続き結婚生活を送る。

色々あったけど、元のさやに収まるパターン。
以前は上辺だけの夫婦関係でしたが、
今度はお互いのことを深く理解しているので、
よりよい結婚生活が送れそうです(^^)

②津田と清子が付き合う
=ダブル不倫の駆け落ち?

昼ドラ的なドロドロパターン(^^)
ただこれは前期三部作の「それから」等で
やっているので、今回はないかなと思います。
物語としては一番盛り上がりますけどね~。

③津田が一人になる。

津田が結局、清子に相手にされず、
お延からも離婚を突き付けられるパターン。

これが一番可能性が高いと思います(^^)

清子は、津田と偶然再会した場面を振り返って、
「あなたは私を待ち伏せをするような人だ」
と言っています。今風に言えば
「お前はストーカーだ」と言っているに
等しいですよね(^^)
要するに、嫌われている可能性大です。

お延は、非常にプライドが高いタイプなので、
津田が昔の恋人のことを忘れられずに、
自分に嘘までついて会いに行ったことを知れば、
激高すること間違いなし。
現時点で既に浮気を疑っていますし、
離婚まで行っても不思議はないと思います。

イケメンの世渡り上手なお坊ちゃん・津田も、
そろそろ痛い目を見る時でしょう(^^)

清子の出番があまりにも少ないので、
清子が津田のことをどう思っているのか、
推測するのはなかなか難しいです。
もしかしたら、本当は好きなのかも
しれませんが、それなら、何で突然
津田の前から姿を消したんだって
なりますよね~。まぁその理由こそが、
本作の核心部分なんですけどね。
そこが明かされずに、未完に終わったことが
本当に残念です。。

●まとめ

とにかく長くて、
作者にしては珍しく女性目線の描写が多くて、
そして続きが気になる、
そんな作品でした(^^)
やっぱり、完結まで読みたかったというのが、
一番の感想ですね~。

最後に、夏目漱石の長編小説、
今作で全作品読了しました!
今とは100年以上時代が違いますし、
読みにくい部分は確かにあります。
それでもテクニックや面白さは
不変のものだと感じました。

一番面白かった作品は「こころ」です。
冒頭から終盤まで目が離せない展開で、
読みごたえ十分でした!
そしてもう一つ印象に残っている作品が、
「坑夫」です。有名な作品ではないですが、
炭坑での労働がいかに過酷なものだったかが
描かれています。
特に、炭坑の奥深くへと進んでいく場面は、
「こころ」と同じくらい目が離せなくて、
引きつけられましたね。

あとは、
ヒロインが非業の最期を遂げる「虞美人草」、
主人公が略奪愛を成就させる「それから」、
有名な冒頭部分で始まる「草枕」なども、
読み応えのある作品でした。

ただ、全作品を通して、
共感できる登場人物は、ほぼ皆無でした(^^;
時代の違いでしょうか(^^;

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